パリコレ一番の熱気は「オフ-ホワイト」にあり

パリコレが終わり、振り返ってみると一番熱気を感じたのは「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH以下、オフ-ホワイト)」でした。ショー前には「クロムハーツ(CHROME HEARTS)」や「ナイキ(NIKE)」とのコラボ商品をパリで発売し、ショー後には香水ブランド「バレード(BYREDO)」のベン・ゴーラム(Ben Gorham)との新プロジェクト「エレベーター ミュージック(Elevator Music)」を立ち上げ、話題をさらいました。

パリコレ期間中にはギャラリー・ラファイエット(GALERIES LAFAYETTE)の中央吹き抜け広場でコラボシューズのポップアップショップを開いていて、外壁にも大きく「ジミー チュウ(JIMMY CHOO)」とのコラボポスターが飾られていました。ル・ボン・マルシェ(Le Bon Marche)でもカフェ付きのポップアップストアを開き、オーガニックフードの「ワイルド アンド ザ ムーン(WILD & THE MOON)」とコラボして、スーパーフードを使ったドリンクやフードを提供していました。老舗百貨店2店舗で同時に大規模な企画を行い、ここでも勢いを感じました。

また、あらゆるブランドのショー会場で「オフ-ホワイト」を着用している人を見かけました。ブランドのショー当日、カンボン通りの会場にはブランドの服を着用した若者が招待状を持たずに入場しようと押しかけていました。そのため、招待客がなかなか入れず、人が倒れるなど大混乱が起こっていました。人だかりが道を埋め尽くし、警察官が歩行者と車を誘導。やっとのことで入った会場は、まるでライブ会場のように湯気が見えるくらいの混雑ぶりでした。

コレクションの女性像は、ニューヨークのウエストヴィレッジに住む“じゃじゃ馬娘”(笑)で、裕福でパーティー好きだけど、週末には乗馬を楽しむ一面を持つお嬢さまです。そんな彼女のためのエレガントに見えつつ肌見せするアイテムと、乗馬にインスパイアされたスポーティーなアイテムをミックスしています。テイストのバリエーションは幅広く、ロゴ入りTシャツなどの“カジュアル”、ボディースーツなどの“スポーティー”、テーラードスーツの“クラシック”、イブニングドレスの“フェミニン”の4つの軸に分けることができます。

“クラシック”で目に留まるのは、テーラードのジャケットやドレスにジャカードで施されたり、デニムの上にプリントで表現された乗馬する人々の柄。よく見てみると、背中には「オフ-ホワイト」のロゴが配されています。クラシックなチェックのコートとスーツに入れた“3”の数字のワッペンも騎士からイメージしています。“フェミニン”なセクションのダブルフェイスのカシミヤケープは、職人の手作業でまつり縫いが施されていて、数十万円するとても贅沢な一品。“スポーティー”のタイトなニットドレスも豊作で、シルエットがとてもきれい。実は有名ラグジュアリー・ブランドと同じ工場で生産しているそうです。

「オフ-ホワイト」といえば、“ストリート”の印象が強いかもしれませんが、前シーズンの「ジミー チュウ」とのコラボを見て分かるように、シーズンごとにエレガンスの割合も強くなってきています。セールス担当者の話によると、デビュー当初からドレスは作り続けているとのことですが、ファーストルックからドレスだった昨シーズンは特にその印象を強くしたと思います。

今季もバッグ&シューズの新型がたくさん登場していました。特に人気が出そうなのは、イタリアのスーパーマーケットにある赤いショッピングバッグから着想したという大きなトートバッグ。ハンドル部分がマグネットになっていて、大きく口が開くのが特徴。かなりの容量で旅行にもぴったりです。シューズは “FOR RIDING”の文字を載せたジョッキーブーツをはじめ、スカーフ付きのヒールシューズ、スポーティーなスニーカーなど種類豊富にラインアップしていました。